【試乗記】新型シャラン〜Part1
1995年、フォルクスワーゲンとフォードの共同開発車としてデビューした初代シャランは、日本でも1997年から販売がスタートし、1156台が販売されている。1999年には日本での販売は終了したものの、ヨーロッパでは2000年と2003年にマイナーチェンジが行われ、最終的には約60万台のセールスを記録。そして2010年に15年ぶりのフルモデルチェンジが実施されることになった。
ワールドプレミアとなったジュネーブショーでは、一新されたスタイリングが公開され、その概要は8speednetでもニュースとしてお伝えしている。正直なところ、この時点では日本導入の可能性などないと思っていたから、その後、VGJのスタッフからシャランの導入を検討しているという話を聞いたときには、つい「ホントに〜?」と口走ってしまったほどである。
しかも、どうやらVGJは本気のようで、その表れが今回の国際報道試乗会への参加である。「フェートン」のように、試乗会に参加したものの、その後、市場環境の変化を考慮して導入が見送られたケースもあるが、端から導入予定のない新車の試乗会に、日本からわざわざ参加するはずがない。実際、最新情報では、2011年の導入を目指して現在準備を進めているという。
日本のミニバンのなかには、初代シャランのダイナミックな走りをお手本にしたモデルも少なくないというが、いまや実力を高めてきたミニバン王国・日本のライバルたちを相手に、果たして新型シャランがしっかりとした地位を確保することができるのか? そんなことを考えながら、試乗会の拠点となるドイツ・ミュンヘン空港に降り立った。
これに、いまやすっかりお馴染みとなったフォルクスワーゲンの新しいフロントマスク、いわゆる"デ・シルバ顔"が与えられたシャランは、ライバルよりもひとまわり小さく見える。ライバルたちのような威圧感もなく、実にスマートなデザインに仕上げられているところが、個人的には好印象だ。
新型シャランの特徴のひとつが、スライドドアの採用だ。"乗用車らしさ"を演出するには、旧型のようなヒンジドアのほうが有利だが、使い勝手を考えると、やはりスライドドアはほしい機能だ。後席へのアクセスを考えると、開口部が広く、狭い場所でも開閉が便利なスライドドアは重宝する。ちなみに、電動スライド機構や電動テールゲートが用意されるが、オプションである。
スタート地点のシャラン・ラウンジで、簡単に車両と試乗コースの説明を受けたあと、試乗車のキーを受け取る。いつもならまっすぐ運転席に向かうところだが、国際試乗会の場合、たいていふたり1組で1台の試乗車に乗り込むのが通例。僕たちのグループは試乗車の台数の都合で、3人1組となってしまった。というわけで、まずは後席でのんびり(!?)することにした。
シャランは、5人乗りの2列シート仕様が標準で、オプションで6人乗りまたは7人乗りの3列シート仕様が用意される。僕たちの試乗車は7人乗りで、ミニバンとしては標準的なタイプといえる。
しかもセカンドシートはフロアから座面までの高さが十分に確保されているので、自然な姿勢で座ることができる。実はシャランの試乗会後に、新型トゥアレグとトゥーラン、そしてゴルフに乗る機会があったが、後席の快適さではこのシャランが断トツだった。
日本のミニバンと違い、中央席がシートとしてきちんと機能するのもうれしい点だ。両サイドに比べると多少狭いものの、大人が座っても十分余裕があり、座り心地もいい。日本のミニバンなら、5人目の乗員はサードシートに陣取るだろうが、シャランならセカンド中央がお勧めである。ここにも、ヘッドレストと3点式シートベルトが用意されるのはいうまでもない。
ついでにラゲッジスペースにも触れておこう。旧型シャランでは、シートアレンジを行うには後席のそれぞれをそのたびに取り外す必要があり、とても面倒だった。そこで新型では、セカンドシート、サードシートとも、取り外すことなくフラットなフロアを実現するようにして利便性を高めている。
セカンドシートはシートバックを前に倒すと、それに連動してシートクッションが沈み込み、フラットなスペースになる仕組み。トゥーランのサードシートのような機構である。一方、サードシートはシートバックのレバーを操作するとシートクッションが裏返しになって前方に繰り出し、空いたスペースにシートバックを収納することができる。サードシートの裏にあるボードは、シートを収納したときに広げて、フロアをフラットにするためのものだ。
2010年7月17日 14:45
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