【試乗記】新型シャラン〜Part3
ここで、新型シャランのエンジンバリエーションをおさらいしておこう。ヨーロッパで販売開始される時点で用意されるのは、ガソリンが1.4L TSIツインチャージャー(150ps/240Nm)と2.0L TSI(200ps/280Nm)の2種類。ディーゼルは140psと170psの2L TDIである。このうち日本への導入が期待されるのが1.4 TSIと2.0 TSIで、日本市場は全車DSG仕様となるのは間違いない。
組み合わされるDSGはいずれも湿式クラッチタイプの6段DSGである。最大トルクを考えると、2.0 TSIは当然としても、1.4 TSIなら乾式クラッチタイプの7段DSGで十分ではないか? 疑問に思ったので開発担当者に尋ねると、シャランの重量を考えると乾式ではクラッチの負担が大きく、湿式を選んだのだという。ただ、開発担当者によれば、湿式クラッチタイプの7段DSGも開発が進んでいるとのこと。日本導入時には間に合わないにしても、モデルライフの途中で変更があるかもしれない。
さっそくエンジンを始動しようとするが、オプションの「キーレスアクセス」が装着されたこのクルマは、スターターボタンがセンターコンソールの下の部分にあり、いちいち探さないとわからないのが面倒だ。まあ、慣れの問題だとは思うけど。無事エンジンを始動して出発。シャランにはエレクトロニックパーキングブレーキが搭載されていて、発進時に自動的にブレーキが解除されるのは便利だ。
約1700kgのボディが相手だと、いかに1.4TSIツインチャージャーといえども、軽々と発進するわけにはいかず、アクセルペダルを遠慮がちに踏みながらクラッチをつなぐと、エンストしてしまうこともある。DSGならこんな目に遭うことはないので、心配は無用だが。
発進時に感じたやや頼りない印象は、回転が上がるにつれて薄れてきて、2000rpmを超えるころにはツインチャージャーらしい2L超級の実力を見せ始める。余裕こそないが、必要十分なトルクが確保されるし、さらに回せばアウトバーンの加速でも遅れを取ることはない。これで排気量はわずか1.4Lなのだから、もしも日本のLクラスミニバンオーナーが見たら、目を丸くするに違いない。
Bピラーより前はティグアン、リアサスペンションはパサートから、それぞれ基本コンポーネントを受け継ぐシャラン。試乗車には、オプションのDCC(アダプティブシャシーシステム)が装着されていたのだが、「ノーマル」モードを選ぶとややソフトに思えるほどで、乗り心地は実に快適だった。個人的には少し硬めの「スポーツ」モードが好ましい。これなら適度にダンピングが効いていて、アウトバーンでのフラット感もまずまず。一方、「コンフォート」モードはソフトすぎて、どんな場面で使えばいいのか理解できなかった。DCC非装着のシャランに乗るチャンスはなかったが、DCC付きのスポーツモードくらいの味付けだとベストだ。
アウトバーン走行時にキャビンが静かなことも、シャランの美点だろう。このクラスの中では比較的全高が低く、空力を重視したデザインが功を奏している。これは高速走行時の燃費にも好ましい影響を与えるに違いない。ちなみに、新型シャランのCD値は0.29をマークする。
この2.0 TDIはアドブルーを用いたSCR触媒システムが搭載されるが、現時点ではユーロ5の排ガス規制をクリアするものの、さらに厳しいユーロ6や日本のポスト新長期規制には対応できていない。日本への導入は期待薄......。性能、燃費ともガソリンを上回る実力だけに、残念でならない。
現実的には日本市場はガソリンエンジンだけということになるが、2.0 TSIにはいまのところアイドリングストップが用意されないことから、まずは1.4 TSIというのが順当なところだろう。
2010年7月21日 08:00
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